父の出身地である杉並台は、人口減少と地価下落が著しく課題先進地ともいえるがそれを打開する政策はない。基本的に地域性への配慮や固有のコンテクストが意図されなかった郊外住宅地であるが、そこには父の物語に代表されるように一人一人の生活や営みが息づき、まさに夢のマイホームであった。その証である「基礎」こそが郊外固有の風景を作り出しうる。また現在、杉並台で始まっている「大きな敷地化」は、郊外の新しい住まい方を見せてくれているようである。一方で、これから人口減少と併せて進むさらなる都市集中、再都市化は、「郊外の遺跡化」を招くだろう。以上より、基礎のもつスケールを捉え直し、思い出の表象性、将来への記念碑性、空間の複雑さを意図して、既存基礎を契機に父の家を提案する。