日本の森林所有構造は小規模分散的であり、大規模機械化による効率化を阻む要因となっている。広葉樹は、 通直な材が少なく、形状や品質の不確実性から、多段階の主体によって構成される流通の過程で上流の品質情報が、下流の製品段階の価値と結びつきにくく、製紙・燃 料チップ利用等の付加価値の低い用途に偏りやすい 。林野庁では、望ましい林業モデルの一つに、地域で完結しやすい小規模な自伐型林業を評価しており、搬出する原木一本ごとの収益性を高める視点が重要になっている 。 しかし、原木からどのように板や角材を切り出すかの意思決定は、熟練技術者の経験知に依存している。 本研究では、安価で汎用的な 3D スキャン技術により取得した広葉樹原木の外形情報をもとに、広葉樹における 変形リスクを考慮した価値指標(総価値 (𝑉 total))を定義 し、原木一本ごとの経済的価値を定量的に見立てられる手法を構築する。低付加価値利用に回りやすい広葉樹を対象に、経験知に依存してきた価値判断を共有可能な情報となるよう可視化し、小規模・地域密着型の林業経営 における意思決定の支援を目的とする。